ある日本人の不動産を守り抜いたフィリピン人の話。
2009 年 10 月 29 日

日本に住む、ある紳士(仮にゴルゴさんとする)から僕のところに依頼がありました

「フィリピンに不動産を持っていて、それを売却したい。
 だけど、手元に一切書類がない。
 全部、不動産屋に預けてきてしまった。
 買いたいという人は現れているのだが、もう3ヵ月くらい電話をしても出ないし
 不動産屋にテキストを送っても返事がない。
 私の不動産が、どうなったのか調べてほしい。
 できれば売りたいのだけど、もう売られてしまったのだろうか。。」

「とりあえず、手元にある書類を全部スキャンして送ってください。」

と、ゴルゴさんから届いた書類は、

「不動産譲渡の書類」「委任状」の2点のみだった。そのほかにはレシートも何も無し。

「ゴルゴさん、売却の書類にサインしてるし、誰かさんにSPA(特定委任状)まで発行している。
 これだけあったら、どんな書類でもでっち上げできますよ
 もう誰かの手に渡ってる可能性は大です。
 誰に委任したんです?このサインは誰のものです?弁護士ですか?」

「いや、わからない。
 とにかく時間が無くて、『いいからここにサインしろ、と言われて、サインした。」

「そうですか。もう全て終わっている可能性はありますね」

「もう半分あきらめている・・」

ゴルゴさんから、取引にかかわった人物を一人一人教えてもらった。

デベロッパーのイケ面男
買いたい、と言っていた元ジャパゆきおばちゃん
不動産を仲介した、やり手ババァ
そのやり手ババァの旦那の、小林旭
カリフォルニア育ちのギャル(ゴルゴさんが委任したうちの一人と、あとで判った)

「どうも、やり手ババァが怪しい。一筋縄ではいかない感じのおばさんなので、注意してくれ」

という話だった。

これらの登場人物に、2ヵ月かけて、順番に会って話を聞いていった。

人に会うたびに新たな書類が出てくるというような状況だった。

一番怪しいやり手ババァに会うまでに、状況を全部把握したかったので、やり手ババァに会うのは後の方にした。

会う人、会う人、「あのやり手ババァは汚い女だ。いつも取引の邪魔をする」

と言った。

(やり手ババァは、いったいどんなやつなんだろう)

で、ついに、そのやり手ババァに会うときが来た。

確かに、やり手ババァだった(笑

話をしていくうちに、2年間に及ぶヒストリーを延々と聞かされた。

そしてババァは言う


 あなたはゴルゴの本当の代理人のようなので言うわ。
 いままでいろんな人が、ゴルゴの代理人だと言って、現れたからね。
 売却の書類は、全て揃っている。
 ゴルゴのサインもある。委任状も完璧。
 これをデベロッパーに渡せば、2日で所有権の移転は終わるわよ。
 でもね、代金の授受が行われていない。
 ゴルゴは1ペソも受取っていない
 そんな取引を進めるわけにはいかない 
 みんな私のことを、影でいろいろ言っているのは知っているわ
 だからなんなのよ
 私は、精算が終わるのを見届けるまで、この書類を渡すわけにはいかない。
 訴えるなら訴えなさいよ。受けて立つわ。

つまり

一番、金に汚そうなかんじのやり手ババァが、たった一人で

ゴルゴさんの不動産の所有権移転を食い止めていたのだった。

不動産を買いたい、という元ジャパゆきおばちゃんからは

あの手この手で「早く登記の移転を進めろ!なんで邪魔をするんだ」と恫喝されていたそうである。

おお、なんという、プロフェッショナルなババァ。。

フィリピンでは、あの手この手で不動産をだまし取る、という話ばかりを聞くけれど、

こうやって正義を貫くババァもいるのかと、本当にびっくりした。

・・・

つい2日前、前述の登場人物(総勢8名集まった)を1カ所に集め、ゴルゴさんに来比いただき、

取引は無事完了した。

買ったのは、結局、元ジャパゆきおばちゃんだったが、最後の最後まで、やり手ババァのことを

「コノ女、キライ、ダメ、シンヨウデキナイ」

とブツブツ言っていたが、ゴルゴさんからディスカウントを勝ち得たせいもあり、最後はニコニコ顔で帰っていった。

なかなか憎めないキャラでもあったため、廻りがまんまと騙されて、やり手ババァだけが悪者に仕立てられていたのだった。

ゴルゴさん、やっぱり人徳のある人は、廻りが守ってくれるんですね。

そしてフィリピンも、まだまだ捨てたもんじゃない。改めてそう思いました・

(ご本人の了承を得て投稿しています。原則的に全ての案件には当方に守秘する義務があります。)

コメント (7)

私は人徳はないけど信用は有りました。
ある日本人に一時帰国を伝えると「暗証番号教えるから、銀行で20万円ほど下ろしてきてくれる。円を両替したいから」。。。
自慢にもならない自慢。失礼しました。

ポコチン {4389} 2009 年 10 月 29 日 @ 3:08 AM

>やり手ババァ

基本的にやり手ばばぁは悪い意味でやり手ばばぁである場合が多い。友人が現地やり手ばばぁに店の権利と販売用PCを奪われました。仏様のようなフィリピン人に出会ったみたい。

ポコチン {4390} 2009 年 10 月 29 日 @ 3:14 AM

僕も今度一時帰国するのですが、誰も頼みにきてくれません。

Shusei {4392} 2009 年 10 月 29 日 @ 7:54 PM

基本的には、奪われちゃいますよね
フィリピンに限らず、世界どこでも。。

Shusei {4393} 2009 年 10 月 29 日 @ 7:55 PM

あのぅ~。
その日本人、たぶんですけど。
「性意」じゃない「誠意」で、ガイコク人と接してます。
例えば、
「やり手ババァ」には、その旦那「小林旭」にへと初対面のとき、酒を渡したり、
コンド売却代金、ん十万peso → 円への換金のために「小林旭」が、その日本人に闇金を紹介してくれて、且つ運転を買って出て(相当ヤバイ)きて、無事に私をホテルに送り届けてくれた際には、カミさん「やり手ババァ」と一緒に何か食べてくれと3000ペソ渡したり・・・。
結構、「性意」じゃない「誠意」を多々尽くしてます。
きっと。
なので、その「やり手ババァ」、その日本人をホトホト可哀想な奴と思ってくれたのでしょう。
「性意」じゃない「誠意」は、いつの世も世界に通ず!
か???
いずれにしても、ラッキーだったなっ。その日本人。

ゴルゴ53 {4394} 2009 年 10 月 29 日 @ 11:32 PM

そんなに誠意とつくしておられたのですね、その、日本人の方。
このかたのような鷹揚な人を、最近は見かけなくなりました
報酬もたっぷりはずんでいただけましたので、スタッフ一同、年が越せそうです。
その方には、「そろそろ次のトラブルを仕込んでくれないか」とおねがいしております。

Shusei {4404} 2009 年 10 月 30 日 @ 2:02 PM

ワタシも酷似した事例の救済をしたことあります。が、その際にはここに登場するようなやり手ババアがいなかったから、てこずりましたぁ。その日本人の方、ホントラッキーでしたね!

manila-ceo {4482} 2009 年 11 月 1 日 @ 10:20 AM
 

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