●私には2歳7ヶ月の娘がいるのだが、同じ年の子供に比べて、言葉の習得がかなり遅れている。
学習障害の疑いはないか、とポロっと妻が言い出し、心配になって、ネットでいろいろ調べたら、該当する症状があったりなかったりでよくわからない。
次の朝、会社でうちの社長にその話をしたら、思いもせぬ言葉が返ってきた。
「あのさ、子供を周りと比較すること自体が間違っているんだよ。
比較の概念がない国だってあるんだよ。デンマークの教育を知っているかい?」
●私もデンマークの教育事情について知りたくなり、読まずに置いてあった本をあわてて読んだ。
そこには、およそ日本人の感覚では信じられないようなことが書かれていた。
小学校の8年間はなんと試験なし。数値による通知表もなし。
つまり他人と比較するという概念がないのだ。
教育に対する思想が、根本から違うのだ。個性と意思を重視し、考える力・創り出す力・行動する力をもった人間を育てるという事が、「国の方針」であるという。人的資源こそが、国の最大の資源であると定義している。濃厚な教育システムを支えるため、デンマークの所得税はなんと50%だ。
教育とはこういうことなのか?と読んでいるだけでなぜか涙が出てきた。
そうそう、数学でいえば、デンマークの教科書の最初のページには「なぜ数学を学ぶ必要があるのか」ということが、とくとくと説明されているらしい。日本であれば、考える余地も与えず、受験戦争に突入だ。
●自分の子供の教育のこと、社員の教育のこと、そしていつか自分が教育の仕事にも携わりたいと思っていることから、「教育」について考える機会は、非常に多い。
さて、そこでいろいろなことが頭をよぎった。自分がバカにしていたフィリピンの公立学校は、先生の質はよくないかもしれない。生徒の計算力も低いかもしれない。しかし、フィリピン人は押しなべて性格がよい。たぶん、いじめなどもほとんど無いのではないだろうか。そして、弱者を助ける、分け与えるという人間として大切な部分ができている。そうそう、英語も一応、みんな話すことができる。
それに比べ、OECDの学力調査で常にトップクラスの日本は、いじめ・登校拒否が常態化している。町なかでちょっと困っている人に自然に手をさしのべることのできる人が何人いるだろうか。
これら2者を比べて「どちらがよい教育か」を決めるのは非常に難しいのではないか。
フィリピンの公立学校も、すべてが悪いとはいえないのではないかということだ。
●さて、デンマークの生徒の学力は高いのかというと、残念ながらOECDの学力調査では、ヨーロッパ諸国の中では下から数えた方が早いという。
ところが、医学研究では世界のトップレベルであるという。
またある別の国際学力試験では自然科学の分野で日本を含む欧米14カ国でトップだったという。
つまり、「なにをもって学力とするか」「何がよい教育か」ということ自体、なんだかよく分からないのだ。
ちなみに、国としての豊かさを比べてみると、デンマークは人口500万人の小国でありながら、一人当たりGDPは日本を越えている。
●私が思う、こんな教育があったらいいのになと思うのは
1:デンマークの個性重視教育
2:日本のドリル型教育
3:フィリピンの情操教育
を1/3ずつ混ぜ合わせた教育だ。
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