このautoLISPを使って、なるべく短時間に建築図を書くためのツールを開発中というわけですが、それにはモデルがあります。私が在籍していた大成建設のQuickDraftというソフトです。業務で10年くらい使ってきましたが、まあそれはすばらしいソフトで、その使いやすさたるや、いままで使ってきたマイクロソフトなども含めた市販の全てのソフトよりも使いやすく、高機能、というのがわたしの評価です。なんというか、直感でサクサクと図面が書けてしまうという感じです。
ちなみに大成建設という会社のCAD開発能力は大手ゼネコン5社の中では群を抜いています。というか、1位が大成建設で2、3、4位が無くて他が全部5位。世界的に見てもおそらくトップクラスの開発力ではないでしょうか。(そのことは、AutoCADのインストールCDに大成建設の図面がサンプルとして必ず収録されていることからもわかります)
例えば階段詳細などは数回クリックしただけで手すりも含めて基本的な詳細はかけてしまうし、展開図も半自動で作成してしまいます。図面を書いているときに「こんなことできないかな」と思うと、すでにコマンドがある、というソフトでした。CAD&CGのバックナンバーにQuickDraftのCDが添付されているので、使って見たい人はぜひ使ってみてください。ただし、公開されていたのはQuickDraftの機能のうちの5%くらいです。それでもかなり高機能ですが。)
もちろんわたしにはここまでのソフトは作れないので、その半分、いや1/3でもできればいいと思ってひとつひとつ自分流にアレンジしながら開発を続けています。(もちろん、モデルのQuickDraftは完全にプロテクトされているので中身を見ることはできませんので、一からのコーディングです)
AutoCADのコマンドを1個1個作るので、簡単なものなら1個コマンドを作るのに2日くらい、難しいものでは1個に1ヶ月かかったものもありました。
コマンドが動いたときは、もう、嬉しくて、夜中だろうが手をたたいてしまいます。扱っているのが図形なので、結果がグラフィカルに確認できるというのも非常に面白い。
もうひとつの醍醐味は、プラグラムの難所をクリアした瞬間の快感です。
プログラムを書いていると、いくつもの難所にぶつかります。所詮、市販されている2冊の本では、基本的なプログラムのことしか書かれていないので、まず、膨大なAutoCADのHELPファイルを読み、ネットで同じような問題にぶつかっている人の対処方法を調べまくり、試行錯誤し、手がかりが見えたらまた調べ、の繰り返しです。日本語で公開されている情報では十分ではないときが多く、最終的にはAutoCADのDiscussion Groupという、英語で書かれた掲示板の情報を何件か読んで解決方法を見つけることが多いです。
手がかりをつかむまでは、なかなか眠れない。寝てしまうと、どこまで考えたのか忘れてしまう。なので、すっかり生活が不規則になってしまいました。
私はこうやって毎日毎日、頭を使っていることが、幸せで幸せでたまりません。
日本で会社に勤めているときは、毎日がルーチーンワーク&体力仕事で、本当に苦痛でした。ゼネコンの設計の仕事は立派な仕事ですが、最初の基本計画で頭を使ったあとは、竣工まではわりと一直線で、実はあまり頭を使う場面というのは無い。その途中途中のトラブルや関係者との調整は、頭を使うというより、ほとんど体力と度胸の世界で、頭脳的な仕事は基本設計以外、非常に少ないのです。

私がこうやってプログラミングに没頭できているのは、多分、自分の脳みそが「使ってくれ、使ってくれ」と長い間泣いていて、やっとその日が来たので喜んでいるのかもしれません。
15年間、一生懸命働いたんだから、半年になるか1年になるかわからないけれど、毎日こういう作業に没頭してもいいじゃないか、と思ってやっています。
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