かつて一緒に働いていた、すげえフィリピン人の話
2009 年 5 月 28 日

[プロジェクトX風に読んでください]

♪風の中のスーバルー

かつて働いていた会社に、1人のフィリピン人マネジャーがいた。

日本人は思った。

後にもさきにも、あんなすごいフィリピン人に出会うことは、もうないだろう。

彼女は、組織を立ち上げている2年目くらいのとき、応募で引っかかった。

当時の給料は12000ペソ。

メキメキと頭角を現し、すぐに日本人たちの目にとまった。

4年ほどで30人のCADスタッフをまとめるマネジャーにまでなった。

給料は5万ペソを超えた。

人並みはずれたスタッフの統率力を見せ、粘り強い図面チェックを5年間続けた。

彼女は30人のCADオペの成果物のほぼ100%をチェックしていた。

毎日、毎日、夜6時ごろになると、机の上が、各チームからあがってきた図面と資料がうずたかく積みあがる。

それを全部自分でチェックする。

それも手を抜かず、丹念に。

日本人は口をそろえて言った。

「もう、そんなのいいよ、適当で」

彼女は言った。

「いいえ、まだだめです。プロフェッショナルの図面になっていない」

自分がチェックをしていない図面は、絶対に日本人に渡さない。

それが彼女のポリシーだった。

日本人は、なかなか帰れなかった。

夜12時を回っても、終わる気配なし。2時になってようやく終わりが見える、というような日が続いた。

向かいのビルで働いていた、日本人は言った。

「あなたのフロアはいつも電気がついている。アメリカ時間で仕事をしているのかと思った。」

別の日本人は言った。

「なぜここのフィリピン人は、こんなに働くのか。」

最後の1本が直るまで、当然、チームのスタッフも全員、居残った。

もう、「帰りたい」とか、いえる雰囲気ではなかった。

日本人は何度も、「そんなの適当でいいよ」と言おうとしたが言えなかった。

土曜日も、日曜日も、とにかく仕事があれば彼女は必ず来た。

もちろんスタッフにも出社を呼びかけて。

マネジャーなので土日に出社しても、残業代はもちろん交通費もでない。

完全に自腹の交通費で出社していた。

すごかったのは、そういったクソマジメな仕事振りだけではなかった。

彼女の場合、下のスタッフへの接し方が、他のフィリピン人とは違っていた。

1人1人、自席に呼んで、理解の悪いスタッフにも丹念に説明をした。

相手の席に行って実演教育をした。

妥協を許さないものだから、スタッフからは恐れられていた。しかしその一方で、きちんと社員の意見や困っていることを吸い上げ、日本人に伝えた。

社員を評価する時期になると、彼女は各社員のいいところしか言わなかった。

できない社員もいるけれど、かならず、「こういうところがいいからもっと評価してやってくれ」と進言した。

もちろん、そのできない本人は、毎日厳しく指導されいているから、彼女のことをうっとおしいぐらいに思っていたはずだ。

陰で自分のことを持ち上げてくれていたなんて、今でも知らない。

通常の会社では、ある社員がそういうポジションに達すると、下の社員には、いろいろと不満が溜まるものだ。

高圧的な態度であったり、えこひいきについてであったり、いろんな問題がおきる。

それが普通だ。

日本人は全社員との面接のたび、何度もカマをかけた

「あのマネジャーはどうだ、厳しすぎるか」「もう、いやだろ」「嫌いだろう」

全員が同じ答えをした。

「厳しいけれど、ちゃんと教えてくれるので、いい上司です」

「しいて言えば、もう少し早く帰りたい」という意見が出るだけだった。

彼女が在籍した5年か6年のあいだ、ネガティブな意見はただの1度も出なかった。

日本人は思った。

あいつは突然変異だ。

(ちなみに彼女がいると、雰囲気がかなり重くなる(それくらい影響力が強い)ので、正直なところ、僕は同じ場所で仕事をしたいとは今は思わない(笑 仕事は楽になるけど。。)

3月末で退職し、念願のアメリカで新生活をはじめた。現在35歳。独身。

アメリカへ立つ前、僕の会社に挨拶に来た。

こう伝えておいた。

「就職したら、アメリカの仕事、こっちに送れや。1人で20人分の仕事とってこれるぞ。」

彼女は答えた。

「イエッサー」

やりすぎて全米の仕事を取ってきてしまうのではないかと、心配だ。

彼女は、ことあるごとに、こう言った。

「フィリピン人は、信頼され続ける限り、やります。一番大切なのは信頼です。」

コメント (5)

すげえ。

ぱんちょ、感動。

PANCHO {3797} 2009 年 5 月 28 日 @ 4:23 PM

プロジェクトX調に、書き直しました!

Shusei {3798} 2009 年 5 月 28 日 @ 4:57 PM

私の独断と偏見に依りますと、
多分、その彼女、「心の内に何か期するものがあった」に違いない!
その期するものに向かって「スイッチon状態」
ほか、何も見えない。
私、たまたま今日、うちの女子社員に向かって言いました。
男子より体力が劣る女子が男子に勝つ方法はただ一つ!
「頭だ!頭脳だ!知力だ!」と。
「だから勉強しろ!賢く慣れ!」と。
「それで世の腑抜けな男どもを蹴散らせてみろ!」と。
実は、これ、等しく男にも言えることなのですが・・・。
人間、覚悟を決め、腹をくくった時、何かが変わります。
と、思いたい。
その彼女、今、どうしてますかね?

michiaki {3799} 2009 年 5 月 28 日 @ 6:08 PM

( ;∀;)イイハナシダナー

匿名 {3879} 2009 年 6 月 10 日 @ 6:48 PM

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Shusei {3880} 2009 年 6 月 10 日 @ 8:47 PM
 

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