建築CAD図:実施図面作成コストを劇的に下げる方法
2009 年 1 月 31 日

建築CAD図:実施図面作成コストを劇的に下げる方法というのを考えてみた。

発注のうまい・ヘタで図面の作成時間というのは、かな~り変化する。

(ここでは図面作成コスト、イコール作成にかかった時間という前提なので、一式いくらで発注する場合は関係ありません)

1: 一気に書かせて、一気に直す。これが鉄則。プランが固まるまでは、作図開始をぐっと我慢。

プランがまだ固まっていないうちに、見積用図面提出の締切が近づいてしまい、気ばかり焦って実施図を発注してしまうと、書いている先から書き直し、情報も交錯、データ精度も劣化、モチベーションも低下で、デスマーチ決定となる。

ここはぐっと我慢して、プランが固まるまでは作図を発注しない。少なくとも、トイレ廻り・コア廻りがまだ動きそうなら、平面詳細図を開始する時期ではない。階段が1回転では上りきらないことが途中で分かって、1.5回転に変更、なんていうのはコアのプランが全く変わってしまうので最悪。

平面詳細図を書かせている先から、プレゼ資料のプラン変更資料を、毎日毎日、新聞のように送ってくるパターンはもっと最悪で、せっかく早くスタートしても完成する日は決して早くならない。

では、いつまで我慢していられるのか、というのは相当、経験を積んだ発注者でないとわからないものだが、意匠図一式100枚の場合で、4週間が基本。

小さい建物ならそれより短く出来るし、難しい建物ならそれよりちょっと伸びる。

手馴れた人なら3週間か。

3: 作図開始に最低限必要なものは、平面図(防火区画ライン入り)・整った仕上表・構造の仮定断面・外壁のスケッチ。あとはほとんどいらない。(つまり概算資料がありさえすればできる)

これだけあれば平面詳細図の着手は出来る。

立面図はほとんどみない。

断面図は、LGSが65でいけるのかどうかを知るために、階高は見るが、あとは見ない。

仕上げ表、これはアナがあくほど見る。仕上げ表を適当にする設計者が多いが、仕上げ表の完成度というのは作図効率に大きく影響する(後述)。

平面詳細図が早くできれば、後が非常に早いので、平面詳細図の完成が図面全体のキモとなる。

なぜなら、平面詳細図が出来てしまえば、展開図・天井伏図・範囲図・断面詳細図・階段詳細図というように、他の図面をどんどん派生的に着手できるから。特に展開図なんてのは人海戦術が効く(そのPJ担当の人間でなくても作図に参加できる)ので、1週間で30枚くらいはいける。

どんなに大規模の建物で何枚あろうが、プランが固まってさえいれば平面詳細図なんて実は、1週間でほとんどできてしまう。大規模であればあるほど繰り返しも多くなるので、建物規模と平面詳細図にかかる時間とは正比例しない。(間仕切のやたら多い病院だけは別だが)

だから、平面詳細図作図中の1週間だけは、設計変更をかけないでぐっと我慢・我慢。変更があれば、作図終了後に一気に変更をかけたほうが早い。

高層建築であれば、基準階のコアを3日くらいで書かせて、1回チェックを入れ、それから他の階に展開するという2段構えのほうがよい。

細かい仕様は、あまり重要ではなく、質疑応答で対応できるので、時間をかけてわざわざ資料を作る必要はない。

平面詳細図着手時の質疑で最も多いのが

  • 防火区画を何でやるか
  • エントランスなどの壁:石貼りの範囲(下地がまるで変わる)
  • GLを使うか、LGSを通すか。(壁芯が全部動く)
  • RC壁の場合、外壁側フカシは何ミリか
  • ALCとアスロックを使い分けるなら、どこをどっちでやるか
  • トイレの壁

これ以外は作図側にお任せということにして、とにかく最後まで一度書きあげる。書き終わった後で、変更をかける。嘘でも明確なルールに沿って書くのであれば、変更時にそのルールを変更すれば良いだけなので、非常に簡単である。

一番時間がかかるのは、「この部分はこっちの資料が正だけど、この部分はこっちの資料が正。ただし、ここだけはこっちの資料が正」というような、交錯した情報が次々に出てくるような状態。

4: 仕上表に手を抜かない。

実施図作成の初期には、平面図と仕上表が最も重要な情報となる。特に仕上表は、後追いで作成されることが多く、設計者も手を抜きがちであるが、作図する側は仕上表を穴が開くほど見る。仕上表をきちんと整備すると、すべての図面の整合性が高くなる。”スラブレベル” ”仕上レベル”が空欄のままの仕上げ表は論外。

  1. 部屋名 例えば倉庫-1 倉庫-2 前室-1 前室-2 など、複数ある部屋はめんどうでも枝番をすべてつける。廊下なども、廊下-1、廊下-2と名前を分ける。平面図と仕上表とで、部屋名を整合させる。
  2. 部屋名表記の統一 倉庫-1 なのか 倉庫(1)なのか。男子便所なのかMWCなのかWC(M)なのかも最初にすべて決める。ここで表記が統一できていないと、以後、もぐら叩きのように、ずーっと間違いに赤を入れ続ける羽目になる。
  3. ”スラブレベル” ”仕上レベル” ”直天なのか天井を貼るのか”の3点を、(嘘でもいいから)必ず決める。 よくグチャグチャになるのが、「電気室の床下げ」「タイルカーペットのときのスラブレベルは-5なのか0なのか」「ビニルタイルのときのスラブレベルは-2なのか0なのか」「床も天井もテナント工事の場合の図面上の表記はどうするか」「防水・石張り・OAフロアのときの床下げはいくらか」など。このあたりは設計者の力量がかなり表れる。駐車場直天にするか天井を貼るかで揺れることもかなり多い。仕上げ表を変更すると、平面詳細図だけでなく、断面詳細図・展開図・階段詳細図・天井伏図など、ありとあらゆる図面に影響が出るので、非常に効率が悪い。2,3日に一度くらい新しい仕上げ表を気軽に送ってくる設計者が多いが、変更点を探し出して、すべての図面を直す、というのはかなりたいへん。なので、一旦無視して作業を進め、一度全部書いてしまって、全部の図面を机に並べてから一気に変更をかけたほうが早い。
  4. 仕上げ表の中の壁仕上げは平面詳細図作成時にはチラっとしか見ない。エントランスホール・・石ね。トイレ・・・化粧ケイカルね。くらいしか見ないので、適当でいい。

5: 作図が始まってからやってはいけないこと。

縮尺の変更・図面の向きの回転。

これをやってしまうと、寸法のレイアウトしなおし、注釈書き込みのやり直し、RCやALCのハッチングやり直しなど、かなり手間がかかる。

逆に、図面のレイアウト自体はビューポートでどうにでもなるので、仕上げにかかるころまでに決めればいい。

6:矩計図1本くらいは設計者が書く

矩計図の1本すらない状態で実施設計に突入するというのは、スタディがまったくできていないということの証左でもあり、あとでかなりの設計変更が出てくるのが普通。こういう場合は多めに時間を見積もっておかないとハマる。

忙しいのはわかるけど、矩計図くらいは書こう。

こんな感じです。

WEBのページ用の原稿をつくっているときに思いついて書いてみたんだけど、これ載せるかどうかは微妙だなぁ。。。

コメント (2)

何時も覗き見のように拝見させていただいておりますが。私が担当の仕事ができましたら必ず発注しますの宜しくお願いします。正体はそのときにあかします。頑張ってください!!

JJ {3429} 2009 年 1 月 31 日 @ 3:32 PM

ぜひ、おねがいいたしますmm
早くしないとつぶれて、なくなっちゃいます。

Shusei {3432} 2009 年 2 月 3 日 @ 8:19 PM
 

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